研究課題
昨年度に行ったプロバイオティクス候補乳酸菌株のin vitroでのマクロファージ活性化の結果に基づき、候補株をコイに投与して、in vivoでの効果の検証をはかった。しかしながら、vitroとvivoの結果に、再現性をもった相関はこれまでのところ認められていない。霞ヶ浦では、コイヘルペスウィルス(KHV)症により、2004年春からコイ養殖が全面的に中止されている。この解決策が急務であると考えられたので、茨城県内水面水産試験場との共同研究により、KHV対策に積極的に取り組んだ。プロバイオティクス候補乳酸菌株の投与により、KHV症の発症が抑えられたり、症状の進展の遅延が認められたりしたが、プロバイオティクスだけでは完全な予防対策とはならなかった。そこで、コイを人為的にKHVに感染させ、その後「問歇昇温処理」を施すことによって、KHVを発症せず、再度の感染にも耐性を示し、さらに未感染魚にKHVを伝播させない「KHV耐性コイ」の作出が可能であることを明らかにした。この成果に基づき、近く、霞ヶ浦では本手法を用いた「耐性コイ」によるコイ養殖事業が再開されることとなった。問歇昇温処理前にプロバイオティクス乳酸菌を投与しておくことによる相乗効果も検討している。
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Bioscience, Biotechnology and Biochemistry (印刷中)