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2008 年度 実績報告書

腸内フローラにおける細菌間相互作用の総合的理解に向けての萌芽研究

研究課題

研究課題/領域番号 19658034
研究機関九州大学

研究代表者

中山 二郎  九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (40217930)

キーワード腸内フローラ / 細菌間相互作用 / 菌叢解析 / 次世代高速シーケンサー / プロバイオティクス / ビフィズス菌 / クロストリジア
研究概要

各種腸内細菌と宿主との相互作用に関しては多くの研究がなされ、個々の細菌が宿主に与える影響については詳細な解析が現在進められている。しかし、実際の腸内フローラにおいては細菌は複合生物の群衆として活動しており、細菌の集団的活動を理解することがさらなる腸内細菌研究では必須である。本研究では、このような細菌間相互作用の総合的に理解のための研究の基盤的プラットフォームを構築することを目標としている。19年度は、腸内フローラの群集構造を正確に把握するための手法として、次世代型高速DNAシーケンサーを用いた高精度な菌叢解析法を確立した。20年度は、この次世代型高速DNAシーケンサーを用いて得られた菌叢データを利用して、(1)プロバイオティクス(Bifidobacterium breve M-16V)の乳児期の投与が腸内フローラ形成に与える影響、(2)乳児期の腸内フローラとアレルギー発症の関連性、(3)腸内細菌叢スナップショットデータからの細菌間相互作用の抽出、以上の解析を行った。(1)においては、プロバイオティクスを摂取していた生後3カ月間より、摂取を止めた後の菌叢変化に影響が現れることを見出した。プロバイオティクス摂取群では離乳後のビフィズス菌の低下がプラセボ群に比べて遅く、それと共に、クロストリジア綱の増殖が抑制されていた。(2)においては、生後2年以内に食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、喘息などのアレルギーを発症する子供においては、生後1カ月時の糞便にバクテロイデス科細菌が健常者に比較して有意に多く検出されることが示された。(3)においては、ビフィズス属細菌とクロストリジア綱細菌およびビフィズス属細菌とバクテロイデス属細菌が腸内において拮抗的な関係にあることを示唆するデータを得ている。現在さらに、乳幼児期の糞便細菌叢の多数のスナップショットデータを詳細に解析し、さまざまな細菌間の相互作用を見出すことを試みている。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Influence of antibiotic exposure in the early postnatal period on the development of intestinal microbiota2009

    • 著者名/発表者名
      S. Tanaka, T. Kobayashi, P. Songjinda, A. Tateyama, M. Tsubouchi, C. Kiyohara, T. Shirakawa, K. Sonomoto, J. Nakayama
    • 雑誌名

      FEMS Immunol. Med. Microbiol. 印刷中

    • 査読あり
  • [学会発表] 乳児期の腸内細菌叢と後のアレルギー発症の関連性に関する前向き調査 : ピロシーケンス法による菌叢データの利用2009

    • 著者名/発表者名
      小林貴子, 手島幹子, 田中重光, 清原千香子, 園元謙二, 中山二郎
    • 学会等名
      2009年日本農芸化学会大会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      2009-03-28
  • [学会発表] 乳幼児期の腸内フローラの群集構造と宿主免疫系への影響一次世代高速シーケンサーを利用したフローラ解析法の導入2008

    • 著者名/発表者名
      中山二郎
    • 学会等名
      FIMF合同フォーラム2008
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2008-11-20
  • [学会発表] 乳児期のプロバイオティクス投与が腸内フローラ形成に与える影響2008

    • 著者名/発表者名
      手島幹子, 小林貴子, 田中重光, 坪内美樹, 清原千香子, 白川太郎, 園元謙二, 中山二郎
    • 学会等名
      日本農芸化学会大会2008年度西日本支部大会
    • 発表場所
      長崎
    • 年月日
      2008-09-20
  • [学会発表] 乳幼児における腸内フローラ形成とプロバイオティクス2008

    • 著者名/発表者名
      中山二郎
    • 学会等名
      第18回西日本食品産業創造展
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      2008-06-26
  • [学会発表] ピロシーケンス法を用いた乳幼児腸内細菌叢モニタリンスシステムの構築とプロバイオティクス投与の影響の解析2008

    • 著者名/発表者名
      中山二郎, 手島幹子, 田中重光, 小林貴子, 坪内美樹, 清原千香子, 白川太郎, 園元謙二
    • 学会等名
      第12回腸内細菌学会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2008-06-12
  • [図書] 医科プロバイオティクス学2009

    • 著者名/発表者名
      中山二郎
    • 出版者
      シナジー(印刷中)

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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