プロテアソームは生体内の多くの機構制御に重要な役割を果たしているタンパク質分解酵素であり、分解される基質タンパク質には分解シグナルとしてユビキチン(Ub)鎖が付加される。現在Ub・プロテアソームの研究のために市販のプロテアソーム阻害剤が用いられているが、市販の阻害剤はその吸収率の問題から植物では培養細胞やリーフディスクなどでしか使用できず、植物個体で効果的に作用する阻害剤(法)の開発が必須である。そこで本研究では、植物個体で効果的に作用する新しいプロテアソーム阻害法の開発を行うとともに、花芽形成機構解明へと研究を発展させることを目的とする。 平成21年度から平成22年度初期はN. benthamianaを利用して、タバコに対するプロテアソーム阻害法の利用効果を調べた。しかし、予期せぬトラブルによりタバコを利用した研究が進まなかったこと、さらにはタンパク質発現はしても利用できる阻害効果を得ることができなかったため、タバコの系に固執することはやめ、タバコを利用した研究を中止した。 さらに、平成21年度から平成22年度にかけては、シロイヌナズナでの花芽形成過程の研究に焦点を絞り研究を行った。花芽の中でも稔性に直結する重要組織(雄性配偶体)は将来的な稔性制御へ向けた応用研究に役立つと考えられる。そこで、私たちは雄性配偶体に着目して研究を進め、雄性配偶体におけるユビキチン化タンパク質の精製・同定を行った。同定された因子の中でホスホエノールピルビン酸デカルボキシラーゼ(PEPC)に着目して研究を行い、雄性配偶体の発達におけるユビキチン化制御機構の研究を行った。
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