研究概要 |
微小管と微小管結合蛋白質との相互作用に影響を与える小分子化合物の作用を解析するため、本年度は解析に必要なチューブリン精製、Tauの微小管結合ドメインの大腸菌発現系の構築・精製を行うとともに、チューブリンとTau微小管結合ドメインとの結合解析を行った。チューブリンの精製は、定法に従い、豚脳からHigh-molarity bufferを用いて精製した(純度>98%)。Tauの微小管結合ドメインは3つ、または4つのリピート構造(R1〜R4)と、そのN末側に2つ、C末側に1つのproline-rich domain(P1,P2,P')から形成されており、R1〜R4でチューブリンと結合すると考えられている。本研究では微小管と微小管結合ドメインとの結合を単純化するため、まず一つのリピートドメインのみでチューブリンと結合するか否かの検討を行った。P1,P1/P2,P1/P2/R1,P1/P2/R1〜R4,P1/P2/Rl〜R4/P',R1,R1〜R4,R1〜R4/P',P'の各ドメインをGST融合蛋白質として発現・精製し、チューブリンとの結合を検討した。その結果、リピートドメインを含まないP1,P2,P1/P2ではチューブリンと結合せず、R1ドメインを含む融合蛋白質で結合が見られた。しかしP1,P2ドメインを含まない融合蛋白質は不安定で、分解産物が見られたため、安定に発現・精製できるP1/P2/R1融合蛋白質を今後の研究に用いることに決め、チューブリンとの結合パラメーターの取得を行った。
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