研究課題
平成19年度は、培養細胞実験でビタミンE類によるマスト細胞を使った脱顆粒抑制作用を検討し、活性の高い同族体を見出すこと、脱顆粒抑制作用とビタミンE類の細胞への取り込みの相関を明らかにし、ビタミンE類による脱顆粒抑制作用のメカニズムを推定することを目的とした。ラット好塩基球性白血病細胞株(RBL-2H3)を用いて、トコトリエノール(T3)の脱顆粒抑制作用を検討した。RBL-2H3をIgEで感作し、α、β、γ、δ-T3で処理した後、抗原(DNP-HSA)を添加し、脱顆粒を引き起こした。脱顆粒の指標として顆粒に含まれるβ-Hexosaminidaseを定量した。β、γ、δ-T3はマスト細胞の脱顆粒量を濃度依存的に減らしたが、α-T3は大きな影響を与えなかった。その効果は異性体間で差があり、δ>β>γ-T3の順に強い効果を示した。また、T3はcompound48/80、A23187による高親和性IgE受容体(FcεRI)を介さない脱顆粒反応も抑制した。T3の細胞への取り込みを調べたところ、δ>β≒γ>α-T3の順に取り込まれやすく、脱顆粒抑制効果と同じ傾向を示した。T3の脱顆粒抑制メカニズムは、FcεRI発現量やプロテインキナーゼC活性を抑制することを明らかにした。以上から、T3はマスト細胞の脱顆粒を抑制することによりアレルギー症状を軽減する可能性が示唆された。以上のとおり、本研究は計画通り順調に推移している。
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