研究課題
平成19年度はラット好塩基球性白血病細胞株(RBL-2H3)を用いて、トコトリエノール(T3)の脱顆粒抑制作用を明らかにした。平成20年度は、細胞実験の結果を基に、米糠トコトリエノールのアレルギー症状抑制効果を動物試験にて確認した。モデル動物としてICRマウスにcompound 48/80を皮内投与し、I型アレルギー反応の一つであるアナフィラキシー反応を誘発したものを使用した。試験試料油には、不純物として含まれるトコフェロール含量が異なる、二種の米糠由来トコトリエノール、すなわち通常の米糠トコトリエノール(トコフェロールが30%)と、高純度米糠トコトリエノール(トコフェロール含量が1%以下)を使用した。ICRマウスに米糠トコトリエノールを含む試験油を一週間経口投与した後、擦過行動を誘発したところ、トコトリエノールの投与量依存的にマウスの擦過回数および期間が減少した。さらに、トコトリエノールの投与量依存的に血清ヒスタミン含量も減少する傾向がみられた。また、マウス皮膚のトコトリエノール含量は投与量依存的に増加した。これらの効果はトコフェロール含量が低い、高純度米糠トコトリエノールで顕著であり、マウス擦過行動抑制効果は、トコトリエノールによるものであることが示唆された。マウスの擦過行動の原因である痒みはマスト細胞の脱顆粒により放出されるヒスタミンによって引き起こされる。 平成19年度の実験により、トコトリエノールはマスト細胞の脱顆粒抑制作用を持つことが明らかにされたことから、皮膚に蓄積したトコトリエノールがマスト細胞の脱顆粒を抑え、これにより擦過行動が抑制されたと考えられた。
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