腸管組織培養系が困難のため、樹状細胞による解析評価系を構築を試みた。 1.IgA応答評価系の構築 CD11c陽性細胞として分離したパイエル板樹状細胞を各種TLRリガンドで刺激し、応答性を確認した。その結果、CpGオリゴDNA、LPS、Pam3CSK4刺激に対し、IL-6、レチノイン酸合成酵素RALDHA2の発現が誘導された。本実験系に食品成分を添加して、IgA誘導能の評価に利用できることが示唆された。 2.経口免疫寛容誘導評価系の構築: 卵白アルブミン(OVA)に特異的なT細胞抗原レセプター(TCR)を発現するDO11.10TCRトランスジェニックマウスにOVA含有水を経口投与することにより、経口免疫寛容を誘導し、腸管樹状細胞の解析を進めた。その結果、前年度示したIL-10高産生パイエル板樹状細胞は、主にCD11b+樹状細胞であり、IL-10に加えIL-27を高産生することが明らかになった。本実験系が食品成分の樹状細胞を介した制御性T細胞誘導能の評価に利用可能と考えられた。また、経口免疫寛容の誘導過程において、パイエル板樹状細胞のTLR、ケモカインレセプターの発現にも変化が認められ、これらも食品成分の評価の指標となる可能性が示唆された。一方、粘膜固有層CD11c+細胞、パイエル板CD11b+細胞もIL-10発現が高く、これらの細胞も評価系に利用できる可能性が考えられた。
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