研究課題
前年度に引き続き、次世代型木材評価法の確立のためのビジランス(持続的注意力)低下抑制評価試験の改艮を行った。匂い物質提示装置を作成し、遠隔でビジランスプログラムを操作し、実験を遂行した。木材の揮発成分を定性・定量的に分析するために、SPME (Solid Phase Micro Extraction)法ならびに吸着管法を援用し、GC-MS (ガスクロマトグラフ質量分析装置)を検討し、両方法を組み合わせることによって、定性的・定量的な解析法を確立した。さらに、生理的な観点においては、脳波・心電図を計測し、心理学的な方法については、POMSならびに嗜好性評価を行い、網羅的に解析できる手法を確立した。木材に含有されるテルペン等、種々の香り成分について評価した。その結果、ビジランス(持続的注意力)低下抑制効果を有する木材の香りであっても、濃度によって、大きく挙動が異なることが観察された。すなわち、一連の濃度を変化させ、人に提示した実験系においては、ビジランス低下抑制効果を誘導するには、木材の揮発成分の種類も重要であるが、濃度という要因が、人の認知心理学的な持続的注意力を維持するという観点から勘案すると、より影響が大きいことが示唆された。一方で、木材の乾燥過程を変化させることによって、揮発成分濃度が変化することを見出している。すなわち、これら一連の検討結果を勘案すると、木材の種類によって、さらに、木材の乾燥工程の違いによって、人のビジランスは、大きく変化することが示唆され、また、それは、濃度によって制御可能であることが示唆された。このことは、住環境において、木材の種類ならびに調製方法を適切に選択することによって、人の注意力等の快適感・作業効率を制御可能であることを示しており、新たな、木材評価法の一つとしての可能性が示唆された。
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Aroma Research No. 33 (Vol. 9/No. 1)
ページ: 32-35
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry 72(7)
ページ: 1944-1947
http://ffpsc.agr.kyushu-u.ac/jp/sffps/shimizu_result.html#genchoronbun
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