研究課題
昨年度、FITC標識したビテロゲニン(Vg)を用い、Vgの卵母細胞への取り込みを蛍光でモニターする技術を開発した。さらに培養条件下でFITC-Vgが取り込まれれば、卵母細胞を培養条件下で発生し、ビタミンA等の栄養素が卵成熟に及ぼす影響を培養条件下で解析できるのではと着想した。FITC-Vgを加えた培地でゼブラフィッシュの卵母細胞を培養したが、残念ながらFITC-Vgは濾胞細胞の表面で留まって卵母細胞には取り込まれず、想定した培養系は実現しなかった。環境水中の汚染物質が胚に及ぼす影響を調べることを目的として、ダイオキシンに代わる標準毒性化合物であるジクロロアニリン(DCA)に胚を曝露して、シトクロムP450系酵素(cyp1aとアリル炭化水素受容体ahrの発現を解析した。その結果、孵化前の胚ではDCAによってcyp1aの発現が体表の表皮細胞で強力に誘導され、ahrの発現は変動しないことが分かった。cyp1aの発現により、環境汚染物質の胚への影響をモニターできる可能性が考えられた。メダカ胚を用いた実験で、過剰なレチノイン酸(RA)は脊椎骨融合を起こし、RA欠乏は脊椎骨の低形成を起こすことが分かったので、RAの脊椎骨発生における役割を解析することを目的として、RA合成酵素raldh2、RA分解酵素qyp26a1、RA受容体rara1、RA応答遺伝子shhの発現をトラフグ仔魚で解析した。raldh2は脊椎骨に隣接する脊髄と腹大動脈で発現し、rara1は脊椎骨を形成する骨芽細胞で発現し、shhは権間靱帯および脊索鞘を挟んで位置する脊索細胞で発現することが分かった。これらの結果から、背骨の発生に必要なRAは脊髄と腹題動脈から供給され、主に椎体を形成する骨芽細胞と椎間板部分で利用されているものと考えられた。
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Comparative Biochemistry and Physiology, Part C. Toxicology & Pharmacology (未定, 印刷中)
ページ: 2010