近年、小型記録計(データロガー)を動物に装着して対象生物に関するデータを取得するバイオロギング手法が発達している。水圏生物においても、データロガーを装着し、一定時間後に回収し、得られたデータを解析することで、長期間連続して行動生態を測定することが可能となった。しかしながらデータロガーの装着・回収には、対象生物の捕獲、また放流後の再捕獲が必要であり、現在、データロガーの装着の多くは、確実に捕獲・再捕獲が可能な生物のみに限られている。そのため、捕獲・再捕獲が困難な魚類にデータロガーが装着された例は少ない。しかし、これらの魚類にも、漁獲対象種が含まれており、行動生態情報に基づいて管理することが重要である。そこで、我々は、捕獲・再捕獲が困難な魚類にデータロガーを装着し回収するためのシステムを考案した。平成19年度の結果から、曳航式装着による加速度取得の場合においても、尾鰭や胸鰭の振動を検出できることがわかったので、平成20年度においては、GPSを用いて曳航体をリアルタイムで追跡するシステムを開発し、瀬戸内海区水産研究所百島実験池で実証実験を行った。この結果、毎秒1回、確実にGPSによる測位情報を3日間継続的にリアルタイムに計測出来ることを確認した。
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