研究課題/領域番号 |
19658077
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研究種目 |
萌芽研究
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
植松 一眞 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (00116542)
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研究分担者 |
吉田 将之 広島大学, 大学院・生園科学研究科, 准教授 (70253119)
長澤 和也 広島大学, 大学院・生園科学研究科, 教授 (40416029)
海野 徹也 広島大学, 大学院・生園科学研究科, 准教授 (70232890)
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キーワード | 太平洋サケ / アユ / ニジマス / 産卵後斃死 / 脳 / アポトーシス / 免疫系 / 内分泌系 |
研究概要 |
1.産卵後斃死の原因を探るためのモデル生物として成熟前後のアユ(それぞれ広島県太田川漁協と沼田川簗場)とサケ(それぞれ岩手県越喜来湾定置網と盛川簗場)を、また複数回産卵種として成熟前後のニジマス(広島県廿日市市民間養鱒場で継代飼育されたもの)を使用した。 2.産卵後のサケおよびアユの雌雄において、中脳の大型ニューロンに細胞体の萎縮など退行変性を示す組織切片像を見いだした。未成魚の当該ニューロンにこのような形態的な異常はなかった。 3.細胞の自然死であるアポトーシスに関わる一連のカスパーゼ酵素群のうち、特に重要な役割を果たすカスパーゼ3に注目した。そのmRNA発現量の産卵前後での消長を、アユとニジマスを用いてリアルタイムPCR法で測定したところ、産卵後のアユの脳において有意に上昇していることを確認した。アユの他の器官およびニジマスのいずれの器官でも、このような発現量の上昇は観察されなかった。 4.サケの血中コルチゾル濃度を、溯上直前・河川内産卵前・産卵後の雌雄で測定したところ、次第に増加していることを見いだした. 5.以上より、産卵後死亡するサケやアユにおいては、産卵を契機として脳のニューロンがアポトーシスを起こすとともに、ホルモンバランスも崩壊している可能性が強く示唆された. 6.今後、未測定の項目を充実するとともに、性ステロイド、抗体(lgM)、サイトカインなど生体防御に関わる分子や白血球の消長を検討する予定である。
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