研究概要 |
交付申請書に示すとおり、今年度はエゾアワビのテロメア長測定に用いるササンハイブリダイゼーション法を確立すべく、以下の2点について研究を行った。 1.プローブの有効性の検討 これまでの哺乳類における報告を参考とし、5'側にDIGを修飾したテロメア配列(TTAGGG)が7回繰り返されたプローブを用いて検討した。本研究を行う上でこのプローブが本種染色体上のテロメアの位置にハイブリダイズすることが先ずは基本となる。蛍光in situハイブリダイゼーション法により検討したところ、本プローブが本種染色体テロメア領域(末端部)に確実にハイブリダイズすることを抗DIG-FITCシグナルを介して確認した。このことにより、このプローブの有効性が認められた。 2.本種テロメア検出用サザンハイブリダイゼーション法の確立 よりな良好なサザンハイブリダイゼーションを行うためには、テロメア領域とできるだけ近接した部分でDNAを切断する制限酵素(最も長い電気泳動距離を与えるもの)を選択する必要がある。本研究では、Msp I(A)、Hae III(B)およびRsa I(C)の3種の制限酵素を用いて、7通りの組み合わせ(ABC,AB,BC,AC,ABおよびC)でそれらを混合し、筋肉から定法により抽出した本種DNAを消化した。これらを用いて、上記1で検討したプローブによりサザンハイブリダイゼーションを行ったところ、各組み合わせに対して泳動距離に大きな差は見られなかったものの、ABの組合わせの時の泳動距離か比較的長く、今後この組み合わせにより消化後、分析に用いることが有効であると考えられた。 以上より、本種テロメア検出用サザンハイブリダイゼーション法は、来年度行う年齢とテロメア長の関係を調べることが可能な技術レベルにほぼ達したものと考えられる。
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