研究概要 |
前年度の研究で,vasaプロモーターと3'UTRとの間にGFP遺伝子を連結し,その両端にtransposase認識配列を付加した発現ベクターをメダカtransposaseのmRNAとともにマダイ受精卵に導入したところ,12%以上の魚のゲノムDNAからGFP遺伝子が検出され,メダカトランスポゾンシステムの有効性が示された。そこでさらに,トランスポゾンシステムが実際に機能しているかどうかを確認する目的で次の実験を行った。 まず,メダカtransposaseのmRNAの共インジェクションの有無の影響を調べたところ,孵化後5ヶ月目までに死亡した魚ではmRNA有りの場合40%の個体からGFP遺伝子が検出され,mRNA無しの場合には23%であった。一方,孵化後5ヶ月目まで生残した個体では,mRNA有りが12.4%,mRNA無しが12.5%と差異がみられなかった。従って,mRNAの共インジェクションの効果は無いことはないが,共インジェクションによって導入遺伝子のゲノムへの取り込みが急激に増大し,生命維持に影響が出てしまうのかもしれない。 次に,transposase認識配列の有無の影響を調べた。その結果,transposase認識配列をもつ発現ベクターを導入した場合には,mRNAの有無にかかわらず孵化後約5ヶ月目では12.4〜14.7%の個体の鰭からGFP遺伝子が検出されたが,transposase認識配列をもたない発現ベクターを導入した場合にはGFP遺伝子は検出されなかった。従って,ゲノムへのインテグレートにはtransposase認識配列が必要であることが分かった。 さらに前年度にGFP遺伝子が鰭から検出された個体の生殖線をサンプリングし,生殖腺組織からGFP遺伝子の検出を試みたところ,16尾中1尾が陽性であった。
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