研究概要 |
ニワトリdead end遺伝子cDNAより特異的な抗体作製と同様に、始原生殖細胞で発現する因子(DAZL,NANOG)についても抗体の作製を試みた。大腸菌でリコンブナントタンパク質を作製し,アッフィニテイークロマトで精製した。これを家ウサギに免疫してポリクローナル抗体を得た。特異性をさらに上げるために、アッフィニテイー精製により、抗体の精製を進め、その結果特性の優れた抗体を得ることに成功した。免疫組織化学的方法により、DAZLについて生殖細胞の染色を行ったところ、stage Xでの始原生殖細胞、その後のステージの全ての生殖細胞が抗体に陽性反応を示した。比較のために、抗CVH抗体によるCVE分布を調べると、ほとんど同一の場所が染色したため、DAZLとCVHの分布は細胞質であることが判明した。核タンパク質であるDEAD ENDタンパク質とはその機能が異なることが考えられる。一方、始原生殖細胞で発現する因子をOne-Cell Subtraction Cloningで探索すると、興味あることに神経細胞で発現するNENF (XM_419430)が検出された。このことは始原生殖細胞が外胚葉由来の神経細胞と同じ起源であることを強く示唆するものである。stage Xの以降に血流を循環する中胚葉由来とされる血球細胞とは、その起源がことなることを示すものである。以前に行ったCVH遺伝子のIn-situ Hybridizationの結果と比較すると、血管が形成されていないステージでCDH陽性細胞がすでに存在することから、少なくとも始原生殖細胞の起源は血球細胞とは異なることが示唆される。
|