研究課題/領域番号 |
19658104
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
廣岡 博之 京都大学, 農学研究科, 教授 (60192720)
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研究分担者 |
守屋 和幸 京都大学, 情報学研究科, 教授 (90159195)
野村 哲郎 京都産業大学, 工学部, 教授 (50189437)
熊谷 元 京都大学, 農学研究科, 准教授 (50221940)
大石 風人 京都大学, 農学研究科, 助教 (50452280)
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キーワード | ゲノミックス / 遺伝性疾患 / QTL / SNP / マイクロサテライト / 交配様式 |
研究概要 |
近年のヒトゲノムプロジェクトに代表されるゲノミックスの飛躍的な進歩と発展に伴い、すべての哺乳類のDNAシークエンスの類似性が明らかになり、ヒトやマウスで開発された先端技術が家畜にも応用され、その結果、家畜に関する遺伝性疾患遺伝子や経済形質に関与する遺伝子(QTL)の位置と効果が解明されつつある。このような遺伝子の位置、機能さらにその効果の大きさに関する情報を整理し、個別の遺伝子情報の育種現場や生産現場での活用を図ることは極めて重要な研究課題と言える。 本年度は、3つの理論研究に着手した。第1の研究では、病気の遺伝子の遺伝様式および集団での遺伝子頻度を考慮して、病気の遺伝子を持つ個体を選抜することによって生じる経済的な損失を推定する方法論を確立した。さらに、この方法論をクローディン16欠損症、バンド3欠損症といった実際に家畜で起こっている病気に適用し、これらの病気を持つ個体を選抜してしまうことで生じる損失を算出した。第2の研究では、世代重複および交配様式を考慮して遺伝子型情報を用いた選抜を最適化する方法を開発した。本研究の研究成果は国内の学会で発表し、海外の論文に掲載された。第3の研究では、単一世代のサンプルにおけるマイクロサテライトやSNPなどの分子マーカーから、集団の有効な大きさを推定するための新たな方法を開発した。開発した方法は、サンプル個体間の分子共祖係数を親世代ベースに変換した値を用いるものである。この方法を、サンプル集団のヘテロ接合度の過剰に基づく既存の方法とコンピュータシミュレーションによって比較した。新規の方法は、下方向に偏った推定値を与える傾向があるが、既存の方法よりも、はるかに狭い信頼区間を与えることが明らかになった。
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