研究課題/領域番号 |
19658107
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
伊藤 茂男 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (40109509)
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研究分担者 |
梅村 孝司 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (00151936)
乙黒 兼一 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教 (40344494)
生駒 俊之 独立行政法人物質・材料研究機構, 生体材料センター, 主任研究員 (20370306)
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キーワード | 徐放製剤 / 燐酸カルシウム / ポリ乳酸 / ポリ乳酸-グリコール酸 / インスリン / ストレプトゾトシン / アロキサン / 糖尿病動物 |
研究概要 |
1)薬の徐放担体の開発:燐酸カルシウムに亜鉛もしくは鉄を加え、スプレイドライ法により、多孔性球形アパタイト(Zn-HAP)を作成した。この多孔性球形アパタイトにインスリンを吸着させた。被覆剤を検討する目的で、Zn-HAPをコンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ポリ乳酸(PLA)もしくはポリ乳酸-グリコール酸(PLGA)等で処理した。Zn-HAPをラットに皮下投与した結果、2週間でHAPは完全に吸収され、投与部位から消失した。 2)皮下投与による薬効持続時間の評価:ラットにストレプトゾトシン、ウサギにアロキサンをそれぞれ投与し、糖尿病モデル動物を作出した。コンドロイチン硫酸とヒアルロン酸を処置したインスリン結合Zn-HAPを糖尿病ラットに皮下投与し、血糖降下作用と血中インスリン濃度を1週間経時的に調べた結果、血中インスリン濃度は一過性に増加し、血糖は一過性に減少した。インスリン放出は持続せず徐放されなかった。 3)インスリンのin vitro溶出試験:PLAもしくはPLGA処理したインスリン結合Zn-HAPを37℃でインキュベートし、上清に放出されたインスリン量と残留した量を定量した。PLAもしくはPLGA濃度の増加に依存して初期バースト(HAPを溶液に溶かした時のインスリンの漏れ)は低下したが、HAPの粘性が増加した。PLGAはPLAよりも粘性が高かった。PLAの至適濃度を30mg/mLに設定し、PLAで処理したZn-HAPを糖尿病ウサギに投与すると血中インスリン増加と血糖低下作用が見られ、血糖低下作用は2-3日間持続した。 4)製剤の毒性評価:Zn-HAPをラットに大量皮下投与し血液生化学的検査を行った結果、血液性状は変化しなかった。また、Zn-HAP投与後に経時的に投与部位及び臓器の組織切片を作成し、病理組織学的検索を行ったが、臓器所見に変化は観察されなかった。投与部位では異物除去反応が観察された。
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