研究課題/領域番号 |
19658111
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
藤田 正一 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (10143314)
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研究分担者 |
石塚 真由美 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 准教授 (50332474)
坂本 健太郎 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教 (80374627)
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キーワード | ホルムアルデヒド / パーキンソ / ADH3 / TIQ / ノルサルソリノール |
研究概要 |
ホルムアルデヒドはシックハウス症候群の1原因物質としてその詳細が調べられてきた。しかし、長期曝露による神経毒性は、「神経変性」という観点からは不明であり、さらに、ホルムアルデヒドとドパミンの縮合によって合成されるノルサルソリノールに着目してその毒性やパーキンソン氏病との関連を研究した報告は殆どない。そこで、本研究では、上記仮説の検証を含め、ホルムアルデヒドの内因性の発生や消去能の低下、ホルムアルデヒドを発生させる環境化学物質への曝露が弧発性パーキンソン氏病の原因となりえるのかを究明することを目的とする。 本研究では、脳におけるホルムアルデヒドの解毒に重要なADH3のノックアウト(KO)マウスの繁殖を行った。しかし、繁殖効率が悪かったため、必要数を確保するにいたらず、KOマウスを用いたin vivoでの実験は平成20年度に行った。 一方、シトクロムP450の分子種のひとつCYP2Dの遺伝的多型がパーキンソン氏病の発症とかかわりがあるとの報告があることから、ドパミンの代謝へのCYP2Dの関与について同定を行った。さらに、内因性のTIQ候補であるノルサルソリノールの毒性化や解毒に対するP450の関与についても調べたところ、ドパミンおよびノルサルソリノール代謝へのP450の関与はin vivoではminor pathwayであることが明らかになった。また、ラットにノルサルソリノールを脳室内に投与し、ドパミンへの影響を調べたところ、in vivoでは鉄とノルサルソリノールの共存下でドパミン量の顕著な減少が認められ、ドパミン減少に伴って行動量も低下した。そこで、新生ラットの初代中脳培養細胞及びPC12細胞を用いたin vitroの試験結果では、鉄とノルサルソリノールの共存で活性酸素種と細胞死の増加が認められた。
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