平成19年度はTh2型リンパ球において選択的に発現しているCCR4遺伝子のクローニング、ネコ正常組織におけるCCR4遺伝子発現プロファイルおよびネコCCR4タンパクを認識するモノクローナル抗体の検索を行った。ネコ胸腺より抽出したtotal RNAからcDNAを作成し、イヌおよびヒトCCR4の塩基配列を基にして作成したプライマーを用いたPCRによってネコCCR4のORF配列を決定した。その結果、ネコCCR4遺伝子は360残基のアミノ酸をコードする1083塩基からなり、アミノ酸レベルでのイヌおよびヒトCCR4との相同性はそれぞれ89%および87%を示した。ネコCCR4遺伝子を特異的に増幅するプライマーを用いたRT-PCRによってネコ正常組織におけるMrna発現を検討したところ、胸腺、肺、胃、肝臓、腎臓、膵臓および脾臓における発現を確認した。さらに、抗ヒトCCR4モノクローナル抗体を用いてネコ末梢血CCR4陽性細胞の検出を試みたところ、CCR4陽性細胞の約60%がCD4を発現していることが明らかとなった。ネコの正常組織および末梢血リンパ球におけるCCR4発現プロファイルはイヌおよびヒトのものと類似していることから、本分子がネコのアレルギー性疾患の病態を評価する上で有用である可能性が示された。
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