平成20年度はNorrisらの報告にしたがい、ハウスダストマイト抗原、アラムおよびBordetella pertussisを用いてネコの喘息モデルの作出を試みたが、喘息に伴う臨床症状は認められず、皮内反応においても、ハウスダストマイト抗原に対する陽性反応は検出されなかった。そこで、アラムの用量は変えずに、感作抗原濃度を10-50倍、Bordetella pertussis濃度を100-500倍に増量して、喘息モデルの作出を再度試みた。その結果、吸入暴露4回目において呼吸速拍などの喘息症状が発現した。吸入暴露を行ってから24時間後に胸部エックス線検査およびCT検査を行ったところ、肺野において間質性および肺胞性からなる混合性パターンを認めた。皮内反応における陽性反応および血清中ハウスダストマイト抗原特異的IgEレベルの上昇は認められたが、末梢血CD4細胞におけるCCR4発現割合に関して有意な変動は認められなかった。 ネコの全血におけるサイトカインおよびケモカインmRNAの転写レベルの解析に用いるhouse keeping遺伝子として、GAPDH、RPL17、RPL30、RPL32、B2M、GUSB、HMBS、HPRT、RPS7、RPS19およびYMHAZ遺伝子を選出し、これらの遺伝子を特異的に増幅するプライマーを設計した。感作前後にそれぞれ採取したネコ全血由来トータルRNAを用いたreal time RT-PCRにおいて、これらのhouse keeping遺伝子の転写レベルが変動しないことを確認した。今後は、本研究で確立した遺伝子解析法を用いて、喘息モデルネコの全血におけるサイトカインおよびケモカインmRNA転写レベルの経時的変化について検討する予定である。
|