新規生理機能分子・疾病マーカー候補としてD-アミノ酸に焦点を当て、研究加速に必須の次世代分析法として迅速に多検体分析が可能な「D-アミノ酸テーラーメイド計測プレート」の開発を試みると共に、D-アミノ酸の機能解析や疾病マーカーの探索を行った。分析対象としては現時点で迅速分析が強く要求されているD-アミノ酸としてD-アスパラギン酸、D-セリン、D-アラニン、D-ロイシン、D-プロリンなどに着目した。それぞれを特異的に認識するモノクローナル抗体を作製するため、各D-アミノ酸は牛血清アルブミンなどのキャリアータンパク質に結合させ、これを抗原としてマウスに投与した。抗体価の上昇が認められたマウスから目的D-アミノ酸に対して特異性の高い抗体を産生する細胞を選抜した結果、D-アスパラギン酸では5種類、D-ロイシンでは6種類の細胞株が得られ、それぞれミエローマ細胞と融合したモノクローナル抗体産生細胞株の樹立に成功した。この細胞を大量培養してモノクローナル抗体を得、タンパク質構成全アミノ酸を対象として交叉性を検討した結果、いずれもD-アスパラギン酸及びD-ロイシンを特異的に認識する事が明らかになった。これらの抗体は遊離型D-アスパラギン酸及びD-ロイシンも良好に認識した。本抗体を選択的分子認識基材とし、ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgGヤギ抗体を検出基材として両D-アミノ酸の簡便な競合型ELISA法の開発に成功した。
|