研究課題
マスト細胞は、細胞表面のIgE受容体に結合したIgEが抗原により架橋されると脱顆粒し、ヒスタミンなどのケミカルメディエーターを放出することにより、様々なアレルギー疾患に関与している。リゾリン脂質の一種であるリゾホスファチジルセリン(lysoPS)はラット腹腔マスト細胞(RPMC)のIgEと抗原により惹起される脱顆粒反応を著しく促進する作用を有することが知られているが、その作用機構については不明な点が多く残されている。我々はこれまでに様々なlysoPS誘導体を有機化学的に作製合成し、マスト細胞上に存在するlysoPS受容体のリガンド認識性について検討した結果、極性頭部にスレオニンを持つリゾリン脂質、リゾホスファチジルスレオニン(lysoPT)がlysoPSよりも十〜数十倍強い脱顆粒促進活性を有することリゾホスファチジルスレオニン(lysoPT)を見出した。一方、マスト細胞上にはlysoPSに反応性を示すGタンパク質共役型受容体GPR34が発現していることが最近報告され、たが、lysoPSによる脱顆粒促進作用がGPR34を介しているかについては不明であった可能性が示唆された。そこで今回、GPR34のlysoPT応答性を調べたところlysoPTはGPR34に一切反応しなかった。このことから、lysoPSによる脱顆粒促進作用にはGPR34が関与しないこと、マスト細胞にはGPR34と異なるもう一つの未知lysoPS受容体の少なくとも二つのlysoPS受容体が存在することがわかった。GPR34に対するKOマウスの作製に成功した。
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