研究課題
細胞ストレスの研究からそのシグナル伝達機構が詳しく解明されてきた。しかし生体の個々の細胞が受容し、発するストレス応答がどのように作り出され組織・器官に作用するのかといった、細胞間の相互作用に注目した研究はアプローチの難しさから極めて少ない。様々な発生ステージの野生型ショウジョウバエ個体の上皮にニードルで小さな傷を付けても直ちに傷の修復がおこり個体は生存するが、同じ実験をカスパーゼ活性化因子apaf-1の機能欠損変異体に対して行うと、傷の修復はおこるもののその個体は数日の内に致死となることが明らかになった。次に傷害刺激に対するストレス応答をカスパーゼの活性化として検出するために、FRETをべースにしたカスパーゼ活性化プローブSCAT3をショウジョウバエ胚に発現させて傷害刺激を与えた。すると、傷害部位の近傍から数時間のうちに、胚の全体にわたって微弱なカスパーゼ活性化が認められた。この結果は、傷害部位からカスパーゼ活性化をもたらす因子がシステミックに放出されることを考えさせるデータであり興味深い。ショウジョウバエ免疫担当細胞であるヘモサイト、あるいは抗菌ペプチドの発現に重要な脂肪体細胞では刺激前から比較的高いカスパーゼ活性があることも明らかになった。
すべて 2007 その他
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http://www.f.u-tokyo.ac.jp/~genetics/index.html