研究概要 |
アポトーシスは、固体の生命を維持するために、遺伝子によって制御された細胞死であり、不要になった細胞や有害な細胞を除去する現象である。アポトーシスの誘起機構の一つとして、ミトコンドリアから遊離したカスパーゼ-9がカスパーゼ-3を活性化する経路がある。しかし、がん細胞は、カスパーゼ-9と複合体を生成するタンパクであるXIAPが、カスパーゼ-9と複合体1(次項図1)を生成して不活性化する防御機構をもっている。 そこで本研究では、XIAPを認識するペプチドと金属イオンキレート部(2,2'-bipyridyI(bpy)基)を有する化合物(bpy-ペプチド)を設計、合成する。がん細胞内でbpy-ペプチドが金属イオンによって自己集積してM(bpy-ペプチド)nを生成し、M(bpy-ペプチド)n-XIAP複合体の生成によってカスパーゼ-9を遊離し、アポトーシスを誘導する。 平成19年度は、bpy基を有するジペプチド体の合成に成功した。現在、そのXIAP結合能の測定、および誘導体合成を行っている。
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