研究課題
各種化合物のin vivoがん原性試験は、ラットで2年以上、マウスで18ヶ月と、長期間を要し使用する動物数も多い。in vivo試験の前にもう1段階の試験を組み合わせることで、in vivo試験を行う化合物を絞り込むことができれば、一連の試験にかかる延べ日数の削減、使用動物数の削減、経済的負担の削減等多くのメリットが生じる。in vitro transformation評価系は、げっ歯類細胞を用いて研究レベルで使用されてきた。ヒト細胞を用いる系が組めるならその優位性は高い。ヒト細胞はがん遺伝子導入によるtransformationや化学発がん感受性が低いことが知られており、ヒト細胞を化学発がん剤でがん化させる試みは、組織培養研究の初期から行われたが、今日でもげっ歯類細胞と比較して極端に低いヒト細胞の反応は改善されていない。昨年度の検討で、in vitro transformation試験の基本的な設定を確認し、ヒト由来細胞にいくつかの遺伝子改変を行なうことで、transformation感受性が上昇することを認めた。また、transformation感受性に影響する可能性のある遺伝子/因子として、がん遺伝子やがん抑制遺伝子、及びそれらの産物には分類されないものを見いだし、本年度はその因子の細胞がん化における役割も含めて解析した。この遺伝子/因子を改変してのin vitro transfo rmation試験ではまだ結論が出ていないものの、本因子の機能と発がん化学物質(Cr等)処理細胞での挙動/機能変化から推定すると、本目的にかなった特性を細胞に付与してくれるものと期待される。
すべて 2009 2008
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J. Health Sci. 55
ページ: 72-76
Biochem. J. 415
ページ: 477-482