研究課題/領域番号 |
19659030
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
吉田 武美 昭和大学, 薬学部, 教授 (20138415)
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研究分担者 |
芦野 隆 昭和大学, 薬学部, 助教 (00338534)
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キーワード | シトクロムP450 / Nrf2 / CAR / heme oxygenase-1 / NADPH:quinone oxidoreductase-1 / マウス / Cyp2b10 |
研究概要 |
転写因子Nrf2は、抗酸化タンパク質群や薬物代謝第二相酵素群など生体防御関連遺伝子発現を統合的に制御し、発がん物質、環境汚染物質などから生体を保護することが報告されている。Nrf2を介した生体防御機能は、多岐にわたっており、さらなる生体防御因子の制御に関与している可能性があることから、薬毒物侵襲時に変動する新規生体防御遺伝子の探索を目的にNrf2遺伝子欠損(KO)マウスを用いて網羅的な検討を行った。Nrf2活性化剤であるBHA、phoroneおよびoltiprazの処置による経時的な遺伝子発現変動を検討したところ、既知のNrf2制御遺伝子であるheme oxygenase-1とNADPH:quinone oxidoreductase-1同様の誘導が、薬物代謝第一相酸化反応の中心的な役割を担うシトクロムP450(P450)分子種であるCyp2b10とCyp2a5で認められた。そこで、Nrf2 KOマウスへphoroneを処置し、Cyp2b10誘導能を検討したところ、野性型(WT)マウスと比較してその誘導レベルが有意に低下していた。すでにCyp2b10誘導に関与する転写因子としてCARの存在が明らかとなっている。そこで次にNrf2活性化物質によるCyp2b10誘導が、Nrf2による制御なのか、CARによるものなのかを検討する目的で既知のCyp2b10誘導剤であるphenebarbital(PB)を用いて検討した。その結果、WTマウスと比較してNrf2 KOマウスでは、PBのCyp2b10 mRNA誘導レベルの有意な減弱を確認した。次にCARによるCyp2b10遺伝子転写活性化を検討するために、BHA処置によるCARの核集積とphorone処置によるPBREMを介した転写活性を検討した。WTマウスでは、BHA処置12時間後にCARの核移行が明らかとなり、また、phorone処置24時間後に転写活性化が認められた。しかし、Nrf2 KOマウスではこれらの現象が認められなかった。以上の結果から、Nrf2はCyp2b10遺伝子発現においても関与することが示唆された。
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