研究課題/領域番号 |
19659037
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
橋田 充 京都大学, 薬学研究科, 教授 (20135594)
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研究分担者 |
樋口 ゆり子 京都大学, 薬学研究科, 研究員 (40402797)
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キーワード | NFκB / デコイ / ターゲティング / 遺伝子デリバリー / 炎症性サイトカイン / リポソーム / マクロファージ / 移植片拒絶 |
研究概要 |
NFκB転写制御による移植片拒絶に対する治療法開発を目的に、本年度はまず移植片拒絶においてサイトカインやケモカインなどの産生細胞として重要な役割を果たすマクロファージの初代培養系の確立を行い、キャリアを用いたNFκBデコイの取り込み特性の評価ならびにNFκB活性化抑制、サイトカイン産生抑制効果の評価を行った。免疫担当細胞選択的キャリアであるマンノース修飾カチオン性リポソームと蛍光標識NFκBデコイの複合体を用いてNFκBデコイの取り込みをフローサイトメトリーと顕微鏡により評価したところ、蛍光標識NFκBデコイ単独の場合と比較し有意な取り込み量の増大が認められた。また、マンノースリポソーム/NFκBデコイ複合体によりNFκB単独の場合と比較し、LPS誘発性NFκB活性化ならびにサイトカイン産生を有意に抑制した。さらにマウスまたはラットにマンノースリポソーム/蛍光標識NFκBデコイ複合体を投与したところ免疫担当細胞の集積する肝臓ならびに脾臓への高い集積が認められ、マンノースリポソームによるin vivoでのNFκBデコイのデリバリーが可能であることが示唆された。移植においては、血流の一時的な遮断後の血流再開時の活性酸素発生によるNFκB活性化ならびに肝炎が問題となる。そこで、虚血再灌流時の活性酸素によるin vivoでのNFκB活性化の評価を目的に、虚血再灌流モデルマウスに活性酸素消去能を有するNOを投与したところ、有意なNFκB活性化抑制効果、さらに肝炎の指標となる血清中ALT・AST濃度の上昇抑制効果が得られた。従って、移植時に活性化されるNFκB活性化抑制により虚血再灌流誘発性肝炎も同時に抑制可能であることが示唆された。以上、NFκBデコイの免疫担当細胞選択的送達によるNFκB転写制御による包括的な治療法開発に必要な情報を得ることができた。
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