研究課題
生体の器官の組織構築と機能維持には、ライフラインとしてその栄養にあたる血管系の発生が密接に関連する。中枢神経系の発生過程においても、脈管形成、血管新生や動静脈分化のステップとともに、血管ネットワークの走行パターンが巧妙に制御されていると考えられる。小脳においては皮質層構築とともに矢状方向、内外側方向に区域化されることが機能発揮に不可欠な神経解剖学的基盤である。縦縞状の小脳皮質傍矢状帯域を可視化できるトランスジェニックマウスの組織形態学的解析から、出生後の帯域の境界部に移動中の顆粒細胞を検出し、この部位に高頻度に血管が走行する所見を得たことから、グリア細胞に加えて血管構造の細胞移動への関与の可能性が考えられた。今年度は、小脳皮質構築過程における血管、プルキンエ細胞や顆粒細胞、バーグマングリアの位置関係を記述し、これら細胞間の相互作用の可能性を検証することで協調的な血管・神経発生の可能性を追究する第一歩とした。傍矢状帯域を最初に検出できる胎生15日以降の小脳を栄養する血管ネットワークの構築について、特に脳軟膜脈管叢から皮質へと内向きに進入するポイントと傍矢状帯域パターンの関連に注目して蛍光抗体染色法で解析した。さらに、whole-mount in situ hybridization法を行ってマウス胎生後期小脳で縦縞状の遺伝子発現パターンを見いだした遺伝子群のうち、血管新生の制御機能が報告されているeph-ephrin系について、in situ hybridization法と免疫組織化学法の多重染色で発現細胞の同定を試みた。
すべて 2008 2007
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) 図書 (1件)
Biochemical and Biophysical Research Communications 367
ページ: 226-233
Journal of Neuroscience 27
ページ: 5903-5914
Neuroscience 148
ページ: 510-521