研究課題
我々は、P2X2チャネルが、明確な膜電位センサー部位を持たないにも関わらず、ATP濃度と膜電位の両方に依存するゲーティングを示すことを見いだした。昨年度までの野生型と、ATP結合部位を構成している部位の変異体K308R等の定量的な機能解析と、ATP結合ステップと膜電位依存性ゲートスデップからなる3ステートモデルを用いたシミュレーション解析の結果から、ATPが結合した結合部位の構造変化が膜電位依存性を示す可能性が示唆された。今年度、さらに、系統的な変異体解析を行い、一つ目の膜貫通部位の細胞外側よりにあるF43およびF47の変異体、さらに、二つ目の膜貫通部位の細胞外側よりにあるI328の変異体が、ATP依存的なゲートは示すが膜電位依存性を失い、どの電位でも恒常的に開いた状態であることを見出した。この結果から、ATPと細胞外のATP結合部位の複合体が膜貫通部位に働きかけるステップが、膜電位依存性の源であると考えられた。さらに、膜電位に依存する動的構造変化が確かに起きていることを明らかにするために、種々の部域にCys残基を導入して、そのCys残基のCd2+による修飾を電流の変化として解析した。その結果、Cd2+修飾のスピード、すなわちCys残基へのaccessibilityに膜電位依存性があることが明らかになった。このことから、P2X2チャネルが膜電位依存的な構造変化を示すということが実証された。
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Structure 17
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