膵ベータ細胞はランゲルハンス島に存在するインスリン産生細胞であり、その分泌異常は糖尿病を引き起こす。膵ベータ細胞はひとつのランゲルハンス島につき数千個存在しているが、個々の膵ベータ細胞はグルコースに対して必ずしも均-なインスリン分泌を示さないことが近年の研究で示されてきている。膵ベータ細胞の多様性の検討は、生体のインスリン分泌機構を解明するばかりでなく、糖尿病の病因の解析やその治療にも貢献すると考えられる。しかし、多様性を持つインスリン産生細胞の個々の細胞のcharacterizationの同定は困難で、そのため個々の細胞を分離および解析はなされていない。平成19年度にはベータ細胞表面に現れる抗原を中心に、ベータ細胞株MIN6細胞のDNA chip解析を行った。その結果、グルコース感受性の細胞にのみ特異的に現れる遺伝子や逆に発現が低下する遺伝子が存在することが明らかになった。また、既存の蛋白については抗体にてその発現を確認した。また、未知遺伝子でありかつそのputativeなアミノ酸配列から細胞表面に発現する可能性のあるものについては、GST融合蛋白を作成しウサギに免疫することにより抗体を作成する予定である。 また、インスリン2遺伝子座にbeta galactosidaseをノックインしたマウスの解析を行っているが、X-gal染色におけるgalactosdase活性およびgalactosidase抗体を用いた免疫染色の結果、若齢マウスではgalactosidase活性および免疫活性ともに低値であることが判明した。今後その原因についても検討する。
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