研究課題/領域番号 |
19659074
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井上 聡 東京大学, 医学部・附属病院, 特任教授 (40251251)
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研究分担者 |
浦野 友彦 東京大学, 医学部・附属病院, 特任助教 (20334386)
池田 和博 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (30343461)
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キーワード | ユピキチン / 感染制御 / RINGフィンガー / レトロウイルス / E3リガーゼ |
研究概要 |
TRIM(tripartite motif)蛋白質ファミリーの多くはRINGフィンガー型E3ユビキチンリガーゼとして機能し、そのうちの一部は抗ウイルス作用を示す。特にTRIM5αはヒト免疫不全ウイルスHIVをはじめとするレトロウイルスに対する防御因子であることが判明している。この、TRIM5αがインターフェロン(IFN)に誘導されることを我々は示しており、インターフェロン(IFN)誘導性のTRIM蛋白が新たなウイルス抵抗性にかかわることを着想し本研究を進めた。乳癌増殖促進因子として働くエストロゲン応答性のTRJM蛋白質として先に我々が同定したEfp(TRIM25)は、IFNによって誘導され、ユビキチン様蛋白質でウイルス感染防御に関わるISG15による蛋白修飾のE3リガーゼでもある所見を得た。この関連でEfpのウイルス感染における役割が注目され、実際にEfpがRIG-Iのユビキチン化を介してRNAウイルス抵抗性を担うことを発見した。特に本年度はこの経路がインフルエンザウイルス感染にも重要で、インフルエンザはこの防御システムを抑制して感染することを明らかにした。そのほか本研究者らが発見したインターフェロン(IFN)誘導性TRIM34(ifp)や、TRIM17を含む、複数のTRIM蛋白質でその機能解析を進め、基質ならびに新機能を見出している。以上のように、本研究では、ウイルス感染における宿主防御因子としてTRIMファミリーの抗ウイルス作用に着目し、そのウイルス感染における役割を探った。このことにより自然免疫におけるTRIM蛋白質の新たな病態生理的機能が解明され、新たな予防・治療法の開発、臨床応用へ発展することが期待される。
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