本研究の目的は、研究代表者および分担研究者のこれまで実績を基に、先天奇形症候群原因遺伝子の革新的な探索方法を確立することにある。具体的には、ヒト発生異常にかかわる遺伝子の機能・シグナル伝達マップを作成し構築したデータベースとプロテオーム解析に基づいて病因遺伝子の探索をおこなう。 1)候補遺伝子群および候補遺伝子の選定(松原) 疾患の既知のシグナル伝達を軸に、まず候補遺伝子群を選定し、つぎにその群から候補遺伝子を選定するという2段階の選定をおこなった。各群に属する遺伝子について候補遺伝子として確率の高さを検定し、各群で可能性の高い分子を選定した。 2)候補遺伝子の解析と機能の評価(青木) 原因不明のNoonan症候群、Costello症候群、CFC症候群にたいして、候補遺伝子の全翻訳領域について塩基配列の決定を行った。同定した遺伝子変異について、培養細胞を用いたウェスタンブロット、ルシフェラーゼアッセイ、増殖分化アッセイ、プロテオーム解析などが進行中である。 3)ヒト発生異常の関与するシグナルマップとデータベースの構築 先天異常症が示す症状を臓器毎に分類し、症候群ごとに整理した。臓器別の立体的な発生異常を構築し、ヒト発生特異的なシグナル伝達マップの作成を進めている。 本研究における遺伝子解析研究は3省庁の「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」に沿って行った。また本研究は、すでに東北大学医学部倫理委員会の承認を得ている(承認番号#2001-217)。
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