研究課題
本研究は、Leigh症候群患者に存在するミトコンドリアATPase6遺伝子のT→C点変異症例を対象に、患者由来細胞を用いたin vivo実験を行って遺伝子修復するための方法を確立することを目的としている。今年度は合成変異DNAをターゲットとして用いて脱アミノ化に有効なカルボキシビニルウリジン(CVU)含有オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)を検討した。また、細胞への導入を効率化する目的で、ガイドODNとCVU含有ODNを一体化し、変異部位に塩基配列特異的に結合するヘアピン型CVU含有ODNを設計し、化学的脱アミノ化の効率を検討した。相補塩基長やヘアピン部の鎖長が異なるヘアピン型ODNを比較した結果、標的DNAとの塩基配列特異性やヘアピン部の結合性をより高める事によってより効率的な塩基配列特異的脱アミノ化が期待できる事が示された。次に、有効であったヘアピン型CVU含有ODNを用いて、患者細胞由来の全DNA、全RNAあるいはin vitroで調製した変異を持つ全長のATPase 6-mRNAをターゲットに塩基配列特異的な化学的脱アミノ化が可能か否かを検証した。ターゲットとCVU含有ODNの混合溶液に366nm・5minのUV-LED照射、90℃・2hの脱アミノ化反応、312nm・15minのUV照射を行ってODNを解離させた。変異修復の有無はPCR-RFLP法で確認した。PCRあるいはRT-PCR反応後、制限酵素MvaIを用いて37℃・2hの酵素処理を行った。正常のATPase6遺伝子はMvaIによって切断されるが、変異型は切断されないため、MvaI消化の有無で変異が修復されたか否かが判定できる。PCR-RFLP解析の結果、ODN2と名付けたヘアピン型CVU含有ODNを用いれば全DNA、全RNA全長のATPase 6-mRNAを用いて塩基配列特異的な脱アミノ化による遺伝子種愎が可能である事が確かめられた。
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