研究課題
本研究は、Leigh症候群患者に存在するミトコンドリアATPase6遺伝子のT→C点変異症例を対象に、患者由来細胞を用いたin vivo実験を行って遺伝子修復するための方法を確立することを目的としている。これまでに、患者細胞由来の全DNA、全RNAあるいはin vitroで調製した変異を持つ全長のATPase6-mRNAをターゲットに塩基配列特異的な光化学的脱アミノ化を試み、ヘアピン型CVU含有ODNを用いた部位特異的なCの脱アミノ化が可能であることを示した。RNAの修復効率は、in vitroで合成した全長のATPase 6-mRNAをターゲットした場合は10.8%、Leigh脳症患者由来の全RNAの場合は7.6%であった。本年度はin vivoで同様のRNA修復を確認するため、ヘアピン型CVU含有ODNを患者細胞内に導入し、RNA修復の有無を調べることを目的に実験を行った。まず、無菌状態でのUV照射法を検討するため、様々な条件で細胞培養皿を介した脱アミノ化を試みたところ、スライドグラスを介してUV照射を行った場合に、最も塩基置換の効率が高いことが示された。この結果から、以後の実験にはガラスボトムディッシュ:ホール径27mmを用いた。引き続き、Leigh脳症患者由来の初代培養線維芽細胞にヘアピンにヘアピン型CVU含有ODNを導入後、UV照射を行ってRNAの修復を試み、RFLPによって脱アミノ化を確認した。しかし、RNAの修復は全く認められなかった。GFPプラスミドを指標として確認したところ、本培養細胞は遺伝子導入効率が高いとされるLipofectamine LTXやFuGENE 6によっても遺伝子が導入されなかったことから、今回の変異修復の失敗はODNの導入効率が極めて低いことが原因であると考えられた。今後、物理的導入法も含め、効率の高い遺伝子導入法の検索が必要であると結論した。
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BioScience Trends 3(In press)
Nucleic Acids Res. 36
ページ: 1952-1964