研究課題/領域番号 |
19659090
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
浅田 祐士郎 宮崎大学, 医学部, 教授 (70202588)
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研究分担者 |
鶴田 敏博 宮崎大学, 医学部, 助教 (10389570)
畠山 金太 宮崎大学, 医学部, 講師 (60325735)
加藤 丈司 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 教授 (20274780)
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キーワード | 心不全 / 骨代謝因子 / 心肥大 / 線維化 |
研究概要 |
本研究は破骨細胞形成抑制因子であるオステオプロテゲリンの心肥大、心不全の発症への関与(役割)、さらに治療応用の基盤確立を目指したものである。 まず、骨吸収抑制作用を有する骨代謝因子オステオプロテゲリンがヒト心臓において産生することが判明した。冠状動脈-冠静脈洞間でオステオプロテゲリンの分泌が増加することを観察し、現在、患者背景とオステオプロテゲリン濃度との関連性を調査中である。免疫染色法ではヒト心筋や心筋間質に広くオステオプロテゲリンの免疫活性が分布していた。 動物モデルを用いた検討では心臓への圧負荷に伴い左室内のオステオプロテゲリンの遺伝子発現が著増することが判明した。一方、Receptor activator of NF-kappa B(RANKL)遺伝子発現はオステオプロテゲリンと相反するように著減することが明らかとなった。これらの遺伝子発現の時間的推移は炎症性サイトカインMCP-1やマトリックスメタロプロテアーゼ活性の動態の類似しており、また心肥大や線維化の程度と関連していた。 培養心筋細胞や心線維芽細胞を用いた検討ではオステオプロテゲリンの産生は循環調節因子であるレニン・アンジオテンシン系と密接に関わっているようである。アンジオテンシンIIの添加に伴うオステオプロテゲリン遺伝子発現動態は心筋細胞ではほとんど認められないのに対して、心線維芽細胞でアンジオテンシンIIの1型受容体を介してオステオプロテゲイン遺伝子発現が調節されることを確認した。次年度の課題は培養細胞や動物モデルを用いて心肥大、心不全の発症におけるオステオプロテゲリンの病態生理学的役割を明らかにすることを目標とする。
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