カザフスタン共和国セミパラチンスク核実験場周辺での低線量域放射線慢性・頻回被ばくとがんとの関連についての検討を、本年度は以下の内容で施行した。 1.以前から現地施設との間で行っていた、東カザフスタン州・パブロダール州における被ばく者等に関する情報入手作業の継続。(1)被ばく者・非被ばく者情報収集(居住歴・死亡情報・疾患罹患歴など)。(2)被ばく者の推定被ばく線量の計算。 2.平成19年11月にカザフスタン共和国パブロダール州がんセンターおよび診断センターに出張、被ばく者・非被ばく者肺がん症例に関する情報交換を施行。(1)現地診断センターのDr.Valivachにかねてより依頼していた"慢性被ばくを受けたと推定されるがん患者"のリストを入手、臨床病理学的検討を施行。(2)当該手術症例のパラフィンプロックとスライドガラスを抽出、借用手続きを施行。借用した検体は以下のとおりである。(1)パブロダール市マイスク地域(被ばく地域として認定されている)住民でがんセンター手術歴のある症例のうち、核実験地域に当該年代居住歴のある症例19例抽出、そのうちの肺がん症例2例。(2)2007年9月からがんセンター受診患者で被ばく地域に居住歴のめある肺がん症例2例。(3)コントロールとしてがんセンター手術症例(胃がんなど)200例。 3.借用症例のブロックを用いてゲノム不安定性・異常の検索を開始(1)microdissection法によりブロックから腫瘍細胞を分離採取、DNA抽出。(2)抽出したDNAを用いて、主に17番染色体マーカーにおけるMSIおよびLOHをMultiplex PCR-Gene Scan法で検索。
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