前年度に引き続き研究を実施した。胎児付属物の分離・培養を行った場合、増殖スピードの早い母胎細胞が混入していると、継代を続けるごとに母体細胞率が上昇し、最終的に全てが置換されてしまう。男児出産時の胎児付属物のみを研究試料として用い、FISH法を用いたY染色体検査にて母胎細胞の混入の多い細胞株を除外した。特に胎盤の母胎面及び、羊膜に関しても、凝血塊の付着している母胎面を剥離して培養することが母胎細胞混入を避けるためには重要である。Heparinを加えたPBSにて組織を洗浄したのち、組織をハサミにて小片にミンチし、通常の10%牛血清入りDMEMにて培養した。培養の時間経過に伴って、組織片から直接間葉系幹細胞が周辺に遊走し分裂を開始した。採取直後に酵素反応を用いて細胞単離後に同様の培養を行った系では、細胞集率が高いが、雑多な細胞が混入している可能性があり、CD表面抗原でのFACS等による細胞機能評価及び、心筋誘導効率アッセイにより、心筋誘導効率が高く、分裂回数の多い初代細胞培養方法を確立した。組織から単離抽出した間葉系幹細胞は、各種Mediumによって培養を行った。基本となるMediumはDMEM/MSCBMである。さらに血清量についても検討を行った。また、臨床応用を視野に、既存の血液製剤供給システムの使用を視野に入れてヒト新鮮凍結血漿などでも同様の検討を行い増殖が可能であるかを検討した。また幹細胞に対する活性酸素暴露軽減を目的として低O_2下で培養を行った。
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