研究課題
萌芽研究
現代の高齢化社会においては、運動や咀嚼機能と密接につながる硬組織の健康を維持し、健全な寿命を延長することへの要求が高まっている。関節リウマチや歯周病などの炎症性骨疾患では、関節骨や歯槽骨が破壊されて機能障害に到り、日常生活に著しい支障をきたすことから、その制御法開発は急務である。骨組織の維持には骨形成と骨吸収のバランスが重要であるが、関節リウマチや歯周病などの炎症性骨疾患では、破骨細胞性の骨吸収が過剰となり異常な骨量減少を生じることが示されている。これまでに、骨粗鬆症において破骨細胞を有効に制御する治療剤が、炎症性骨破壊の治療においては有効性が低いことが指摘されており、その原因として、炎症性サイトカイン存在下に分化した破骨細胞が、apoptosis耐性となっていることが報告されるなど、炎症疾患部位で進行する破骨細胞性の骨破壊を制御するためには、新しいアプローチが必要である可能性が浮上していた。我々はまず、予備研究として、骨溶解酵素のなかでも特に主要であることが遺伝学的に示されているカテプシンKの新規阻害剤を開発して、in vitroでその効果の詳細を確認するとともに、ラット関節リウマチモデルにおいて本カテプシンK阻害剤を用いた治療実験を行い、種々の病理学的検討から、新規阻害剤が炎症性骨破壊の制御に有効であることを明らかにし、これを報告した(Asagiri et al.,Science 319:624-7,2008)。
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Science 319
ページ: 624-627
骨・関節・靱帯 20
ページ: 781-788
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