研究概要 |
下垂体腫瘍形質転換遺伝子(Pituitary Tumor Transforming Gene,PTTG)は、ラット下垂体腺腫由来の細胞株GH4から単離された細胞周期制御因子である。これまでの研究により、PTTGが下垂体腫瘍形成における重要因子であることは明らかとなっているが、PTTGが胎児期の下垂体形成時に高発現することが腫瘍形成に必須であるのか、あるいは発生分化が終了(生後、個体成熟後)した後においてもPTTGの発現誘導が腫瘍形成を誘発しうるのか、が焦点となっている。多様なヒト下垂体腺腫の発生機序は全く不明であるが、成熟後の個体にPTTGの発現誘導を行うことで腫瘍形成が可能であれば、ヒトの下垂体腺腫の発生機序の分子機構解明に大きな進展がもたらされるものと考えられる。そこで本研究では、PTTGの腫瘍発生における役割を精査する目的で、任意の時期にターゲット分子の発現誘導が可能であるエクジソン(Ecdysone)システムを用いたPTTGのconditional transgenic mouseの作製を試みた。現在、2種類のベクター系(Regulation Vector,Expression Vector)の作成と培養細胞(LβT2細胞)での発現系が確立され、2系統のTgマウス(F3)まで作製が完了している。引き続き繁殖・継代し純系(F4)を作製し、実験には純系(F4)を用いる予定である。
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