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2008 年度 実績報告書

インテグリン接着制御分子欠損による発癌モデルの樹立

研究課題

研究課題/領域番号 19659102
研究機関関西医科大学

研究代表者

木梨 達雄  関西医科大学, 医学部, 教授 (30202039)

キーワードRAPL / Rap1 / 増殖 / 発癌 / 接着
研究概要

インテグリン接着制御分子RAPLは低分子量Gタンパク質Rap1のエフェクター分子として免疫系細胞の接着を調節し、免疫監視機構に重要な役割を持つ分子である。意外なことにRAPL欠損マウスは加齢とともに種々の癌が発生することが明らかになった。本研究ではRAPLが癌抑制遺伝子としての機能を持ち、その破綻が癌につながったのかどうか検討する。
RAPL欠損マウスは、加齢とともにリンパ組織が腫大しており、B, Tリンパ球ともに増加していた。リンパ濾胞が過形成であり、大部分はeffector/memory細胞であった。10カ月齢からBcell lymphoma(diffuse large type)(一部Tcell lymphoma)が発生し、15カ月齢までで35%の発生頻度であった。CAGプロモーターによるRAPL Tgマウスは致死的であり、Lck-CreによるT細胞系列での発現マウスではT細胞の分化がdouble negative胸腺細胞の段階で停止した。これらのことはRAPLはがん抑制遺伝子として機能している可能性を支持している。現在mb-1-CreによるB細胞系列発現マウスを作製中である。若年齢のRAPL欠損マウス由来リンパ球ではT細胞、B細胞ともに抗原受容体刺激で細胞増殖が亢進した。抗原受容体からの初期シグナル伝達(PI3キナーゼ、MAPキナーゼ、NFkB、チロシンリン酸化)には異常はなかった。細胞周期解析から増殖亢進はG1-S期の促進によることがわかった。免疫系の異常はリンホーマだけでなく、皮膚炎による脱毛、免疫複合体沈着を特徴とするlupus型糸球体腎炎、血清dsDNA抗体価上昇など自己免疫様症状を示した。また、他の組織では、肝がんや肺がんが多発し、RAPLがリンパ組織以外の器官においても重要な働きをしていることが示唆された。RAPLはRASSFファミリーに属する分子であるが、RASSF1Aががん抑制遺伝子として機能していることが報告された。また、RASSF1AやRAPL遺伝子が肝がんでメチル化による発現抑制を受けていることが指摘されている。RAPL欠損マウスは免疫系、肝臓、肺の発癌モデルマウスとして有用であり、今後、接着制御と増殖制御がどのように関係しているか分子基盤を明らかにしたい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] CXCL13production by an established lymph node stromal cell via lymphotoxin-beta receptor engagement involves the cooperation of multiple signaling pathways2009

    • 著者名/発表者名
      Suto H, Katakai T, Sugai M, Kinashi T, Shimizu A.
    • 雑誌名

      Int Immunol. 21(4)

      ページ: 467-476

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Organizer-like reticular stromal cell layer common adult secondary lymphoid organs2008

    • 著者名/発表者名
      Katakai T, Suto H, Sugai M, Gonda H, Togawa A, Suematsu S, Ebisuno Y, Katagiri K, Kinashi T, Shimizu A.
    • 雑誌名

      JImmunol. 181(9)

      ページ: 6189-6200

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Rap1-RAPLによるインテグリン制御とリンパ球動態2008

    • 著者名/発表者名
      木梨達雄
    • 雑誌名

      実験医学 26(14)

      ページ: 2174-2175

    • 査読あり
  • [学会発表] RAPL signaling in regulation of immune cell traffic and proliferation2009

    • 著者名/発表者名
      Kinashi T
    • 学会等名
      First International Symposium of Clinical and Biological Implications for the role of the RASSF (the Ras association domain family) family of tumor suppressor proteins
    • 発表場所
      Canada
    • 年月日
      20090204-20090209

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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