研究課題/領域番号 |
19659110
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
太田 美智男 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20111841)
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研究分担者 |
山田 景子 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (00402561)
岡本 陽 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (60436996)
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キーワード | バイオフィルム / シグナル分子 / c-di-GMP / 黄色ブドウ球菌 / ECA |
研究概要 |
1. 細菌の新規シグナル分子c-di-GMPならびにその構造類縁化合物4種について、程度に差はあるが、細菌バイオフィルム形成ならびに運動性に影響を与える(主に抑制する)ことがわかった。これはバイオフィルム形成を抑制する化合物開発の可能性を示す。 2. 過剰のc-di-GMPは緑膿菌、黄色ブドウ球菌などのバイオフィルム形成を抑制する。のみならず、c-di-GMP合成系のGGDEFモチーフ蛋白を持たない連鎖球菌などにおいても抑制する。またLC-MSを用いて連鎖球菌の菌体内にc-di-GMPを検出した。したがってそれらの細菌はGGDEFモチーフ蛋白以外の合成系を有するとともに、c-di-GMPが細菌の普遍的なシグナル分子であり、inter cellular regulatorであることが明らかとなった。 3. 黄色ブドウ球菌バイオフィルムは主にica遺伝子によって発現するPIA多糖によって形成される。添加された高い濃度のc-di-GMPはバイオフィルムを抑制するが、ica遺伝子ノックアウト株においても軽度のバイオフィルムは形成され、c-di-GMPは低濃度でその形成を抑制し、高濃度でやや促進した。このことから、黄色ブドウ球菌の主たるバイオフィルム形成成分はPIAであるが、それ以外の成分も形成に関与し、それがc-di-GMPの調節を受けることがわかった。 4. 黄色ブドウ球菌のGGDEFモチーフ蛋白はゲノム解析からSA0701が唯一の蛋白である。我々はさらに新しい合成系蛋白と予想される蛋白SA0013を見いだし、そのノックアウト株を作成した。その結果SA0013の方がよりバイオフィルム形成に関与していることが明らかとなった。 5. 腸内細菌科表層多糖であるECAのノックアウト株は親株に比べてバイオフィルム形成が低下した。したがってECAはバイオフィルムの構成分子であることが明らかとなった。
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