研究概要 |
平成19年度計画とその成果1.Helicobacter属細菌の遺伝子データーベースから種特異的な配列を検索し、PCRプライマーをデザインする。成果:ヒトから分離される、H.pylon,H.heilmannii,H.suis,H.felisをPCR法で同定するため、ウレアーゼ遺伝子配列から特異プライマーを設計した。2.胃内視鏡検査検体及び組織標本からDNAを抽出し、特異プライマーを用いたPCR法にてHelicobacter感染を同定する。成果:上記のプライマーを用いて臨床検体から調製したDNAを鋳型としてPCRを行い、感染菌種の同定に成功した。胃疾患症例272検体のうちH.pylori感染を178検体(65.4%)、HHLO(Helicobacter heilmannii-like organism)感染を4検体(1.4%)検出した。更に胃MALTンパ腫検体に限ると15検体のうち、H.pylori感染は7検体(46.7%)、HHLO感染は6検体(40%)であった。3.PCR産物の塩基配列を決定し、菌種を同定する。成果:特異プライマーを用いたPCR法により感染菌種を同定後、HHLOに関しては、16S rRNA遺伝子とウレアーゼ遺伝子の塩基配列を決定し、菌種を確実に同定した。4.H.pylori以外のNelicobacter属細菌が確認された検体をマウスに感染させ、経過観察を行う。成果:共同研究機関においてH.heilmannii感染の患者さんの胃生検体をC57BL/6マウスに感染させ、胃MALTリンパ種の形成を確認した。5.患者の糞便およびペットの糞便からもDNAを調製し、PCR法にて菌の検出を行う。成果:胃MALTリンパ腫の患者さんの糞便からDNAを調製し、PCR法にてH.heilmannii感染を同定した。またペットの糞便からも同種の菌を同定した。従って、この菌の感染源としてペットが疑われた。
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