研究課題
本研究は、α-がラクトース抗原(Gal)に対する自然抗体(抗Gal)を人と鳥が共通して保有する事を利用して、安全にインフルエンザワクチンの抗原性を増強する事を目的とする。インフルエンザウイルスが宿主細胞から出芽する際に細胞表面の糖鎖構造がウイルスエンベロープに添加される性質を利用してウイルスにGalを発現させる事ができるため、遺伝子改変(Tg)技術によりGalを発現するTg鶏を作出し、その鶏卵を用いてGal発現インフルエンザワクチンを作製する事が本研究の最終目標である。平成19年度に実施した研究内容を以下に要約する。1.鶏胚由来繊維芽細胞にGalの生成酵素であるGTの遺伝子を導入し、Galを高発現しかつ増殖の良い細胞系を確立した。このGal発現細胞では元の細胞に比べてシアル酸発現がやや低下しており、そのためH9N2亜型インフルエンザウイルスの感染性も若干低下していた。しかしながら、感染が成立して細胞内でウイルスが増殖する事を確認した。2.上記のGal発現鶏細胞内で増殖したH9N2ウイルスを回収・精製し、Galが発現する事を確認した。3.Tg鶏の作出に用いる始原生殖細胞(PGC)にGT遺伝子を導入する目的でレンチウイルスベクターを作製した。それを用いて鶏胎児繊維芽細胞にGT遺伝子を導入しGalを発現させ得る事を確認した。4.PGCにレンチウイルスベクターを用いて緑色蛍光タンパク質遺伝子を導入し、効率良く遺伝子を導入できる条件を検討した。
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