研究概要 |
ADAMITS1は超急性期虚血においてのみ強く内皮及細胞から分泌され、時間が経過した急性虚血では分泌されない性質を持つ。この実験的事実からADAMTS1は超急性期虚血でのみ内皮細胞に特異的に誘導され分泌されるタンパクであると考えた。そして、この特性を利用して、ADAMTSIを超急性期の虚血を検出するバイオマーカーとして利用できるのではないかと仮説を立て、これを証明するために下記の実験を行った。 1.ADAMTS1に対するELISA系の確立 市販されている精製ヒトADAMTS1タンパクを用いてADAMTS1のサンドイッチELISA法を確立した。各社より販売されている抗ヒトADAMTS1抗体および独自に作成したモノクローナル抗体を用いてそれぞれ反応性を検討した。もっとも反応性のよかった抗体を以後の検討に利用することとした。 2.低酸素組織におけるADAMTS1の血清変動 心筋梗塞ラットより虚血後、1,3,6,24時間後に血液を採取し、血漿を分離した。経時的なADAMTS1の血漿中レベルの変動について解析を行う予定であったが、血漿とは反応性が不良であったためか、測定感度レベルより低値であった。 3.ADAMTS1の虚血バイオマーカーとしての可能性 ADAMTS1が本当に超急性期虚血バイオマーカーとして利用可能かどうかを、以下の2群において血清中のADAMTS1変動を測定することにより検討する。 (1)急性心筋梗塞および24時間以内の狭心症患者 (2)胸痛があるが急性心筋梗塞や狭心症のない患者 インフォームドコンセントの元に(1)急性心筋梗塞および24時間以内の狭心症患者から血清を採取した。心筋梗塞入院時および再灌流治療後4,8,12時間後にそれぞれ血清を採取し、血清ADAMTS1レベルの時間的推移をELISA法にて検討した。
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