研究概要 |
本研究ではヒトヘルペスウイルス6型(HHV6)がトリクロロエチレンによる全身性の皮膚-肝障害患者においてしばしば再活性化することに着目して、本ウイルスの再活性化はウイルスゲノムの脱メチル化により起こるという仮説を立てた。ウイルスゲノムのメチル化の割合は再活性化に伴い最も早く発現すると考えられているIE1遺伝子のプロモーター領域及び、その上流の反復配列(R3領域)について調べた。患者の血液からウイルスゲノムを抽出し、DNA中のシトシンをウラシルに変換する反応を行った後、IE1とR3領域のみ増幅するプライマーを用いPCRを行い、その産物をsub-cloning後、シークエンスを行いメチル化の割合を確かめた。予備実験において、健常人(ウイルスのメチル化が想定される)及び培養したウイルス(脱メチル化が想定される)をサンプルとして測定の条件検討を行い、その後今回の測定目的であるトリクロロエチレンによる全身性の皮膚-肝障害患者40名のサンプルで測定を行った。IE1,R3両領域でbisulite処理後のPCR産物が得られるが、sub-cloning後sequenceすると、全てが別の遺伝子を増幅していることがわかった。bisulite処理をしているため、増幅しているものが何由来であるか判別不能であった。再度、某研究者より供与されたHHV6の潜在化、再活性化のモデルとなる3サンプルについてTaq、及びannealing温度の検討、nested PCR,touchdown PCR等を試みた。しかし、DNA中のシトシンをウラシルに変換する反応を行った後、IE1とR3領域のみ増幅するプライマーを用いPCR産物までは確認できるが、sub-cloning後sequenceしても目的のウイルスの塩基配列を検出できなかった。原因は最後まで判明しなかった。
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