本研究は、RNAiジーン・サイレンシング法を用いて遺伝性発がんハイリスク群のモデル細胞株シリーズを樹立し、効果的で安全な予防法の開発に応用することを最終目的とする。ターゲットとする遺伝子は、遺伝的発がんハイリスク群の原因遺伝子であるDNA修復系関連遺伝子(主にミスマッチ修復関連遺伝子)であり、ヒト由来正常細胞を用い、各ミスマッチ修復関連遺伝子を個別にノックダウンし、DNA修復異常細胞シリーズの樹立を試みている。 平成19年度においては、各ミスマッチ修復関連遺伝子に最適のsiRNAのデザインおよび長期ノックダウン効果が得られる方法の確立に重点を置いた。ヒト正常細胞は不死化されておらず、培養が困難な上に高価なので、RNAiジーン・サイレンシング実験に多用されているヒト由来HeLa細胞を用いて方法の確立を試みた。平成20年度においては、確立された方法をヒト由来正常細胞に応用して各DNA修復関連遺伝子をノックダウンした細胞株シリーズを作成し、ジーン・サイレンシング効果およびその長さを調べる予定である。さらに樹立された細胞株シリーズを用い、発がんのステージに沿ったエンドポイント(突然変異・ゲノムの不安定性・シグナル伝達関連遺伝子の発現)等について検討する。
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