研究概要 |
1.成人健康調査対象者2,088名の顆粒球、単球、およびリンパ球中のナイーブとメモリーCD4,CD8 T細胞の細胞内活性酸素をフローサイトメーターにより測定した。5-(and-6)-carboxy-2',7'-dichlorodihydrofluorescein diacetate (DCFH)を用いた細胞内H_2O_2、hydroethidine(HE)を用いた細胞内O_2-レベルはともに単球>顆粒球>リンパ球の順で高値であった。リンパ球サブセットの中でナイーブCD4 T細胞に比べてメモリーCD4 T細胞の細胞内H_2O_2値およびO_2-値は昨年の予備的調査の結果と同様に高い値を示した。現在、これらの値に対する性別、年齢、被曝線量の影響について解析を行っている。 2.BALB/cAマウスの未照射と2Gy照射後(生後8週から6ヶ月)の脾臓、リンパ節を採取し、抗CD3抗体存在下で細胞を培養し、上清の炎症関連サイトカイン(IL-2およびIL-4)を測定した。培養後の上清中のIL-2濃度は加齢とともに上昇、また未照射に比べ2Gy照射で高値を示した。IL-4濃度は加齢に伴う上昇の傾向はあるが有意ではなく、放射線被曝によるIL-4濃度の有意な上昇は認められなかった。他の炎症関連サイトカインについてもさらに測定を行っている。放射線照射後0.5〜2年までのマウス末梢血と脾臓、リンパ節由来細胞の抗CD3抗体存在下で培養した上清中の炎症関連サイトカインの測定も現在行っている。原爆被爆者で観察されている放射線被曝の免疫学的加齢の促進がマウスを用いた実験においても起こり得るのか明らかになると考えられる。
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