本研究は、日本人一般集団でのアリル頻度が高く、遺伝子の機能に関する既知の知見から生活習慣病に関運すると思われるSNPを候補遺伝子アプローチで選び出し、食物摂取頻度調査(food frequency questionnaire、 FFQ)から推定された栄養摂取量データをもとに、高血圧や肥満度といったアウトカム指標に影響を与える組合せを検討することを目指す研究である。具体的には栄養疫学的手法(FFQ)を用いて栄養摂取量データを取得し、各種生活習慣病の家族歴を聴取したうえでデータマイニングを行い、生活習慣病の総合的なアウトカム指標の一つである動脈硬化度(脈派伝播速度Pulse Wave Velocity、 PWV)に相互作用が認められる組合せを評価する。平成19年度は生活活動強度の調査とともに栄養調査を行い、塩分摂取量や各種ビタミン摂取量、総カロリー摂取量、PFC比など様々な栄養摂取量データを取得した。また高血圧・糖尿病・高脂血症など各種生活習慣病の家族歴を聴取し、データ化している。アウトカム指標として、血圧や肥満度のほかに動脈硬化度 (PWV)を測定するとともに、交絡因子を調整するために血算や生化学検査を行った。このようにして得られた質問紙調査結果や検査値を探索的データ解析に供するためにデータセットを作成中である。来年度には得られたデータセットを用い、データマイニングソフト(ClementineおよびOrangeを使用予定、いずれも申請者がすでに所有している)を用いて探索的なデータ解析を試みるとともに、得られた結果をもとに生物学的な機序に対する考察を行って結果の意味づけを検討し、動脈硬化を中心とした臨床アウトカムに相互作用を及ぼす遺伝素因と環境因子の組合せを抽出し、後の検証的研究のあしがかりを作る。
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