研究課題/領域番号 |
19659160
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
磯 博康 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50223053)
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研究分担者 |
北村 明彦 (財)大阪府保健医療財団大阪府立健康科学センター, 健康開発部, 部長 (80450922)
山岸 良匡 筑波大学, 人間総合科学研究科, 講師 (20375504)
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キーワード | 高血圧 / 脳卒中 / 遺伝子多型 / コホート研究 |
研究概要 |
一般集団を対象として、高血圧関連遺伝子多型を中心した候補遺伝子多型と脳卒中有病、発症リスクとの関連を、身体要因並びに生活習慣との相互作用を考慮しながら分析することを目的とする。そのために、日本人の住民40〜79歳男女1万1千人のコホート集団を対象として、prospective nested-case control studyの手法を用いて、コホート内から脳卒中の有病、発症例と、性、年齢、地域をマッチさせた対照例に対して、脳卒中発症候補遺伝子を分析し、発症との関連を分析する。また身体要因・生活習慣等の環境要因も分析し、遺伝-環境要因の相互作用の分析を行う。 わが国を含むアジア諸国では欧米諸国に比べ脳卒中の発症が多く、脳卒中の遺伝要因の研究は喫緊の課題である。特にわが国では食塩の摂取量が多く、そのことが高血圧を介して脳卒中をきたす例が多いと考えられることから、特に食塩の摂取、代謝を中心とした遺伝・環境要因のアプローチが重要であると考えられる。 本年度は、遺伝子多型の分析に同意した茨城県K町の30歳以上の住民3,156名を対象に、食塩感受性高血圧の候補遺伝子であるアンギオテンシノーゲン(AGT)T174M、αアデュシン(ADD1)G460W、アンギオテンシン変換酵素(ACE)I/D、G蛋白質β3サブユニット(GNB3)C825T、アルドステロン合成酵素(CYP11B2)T-344C遺伝子多型について分析を行った。血圧値との関連については、いずれの多型も全対象者の分析では有意な関連が認められなかった。一方、脳卒中有病との関連を検討したところ、ACEのDD型(性・年齢調整オッズ比1.6倍)、ADD1のWW型(1.4倍)、GNB3のTT型(1.7倍)においてリスクを高める可能性が示されたが、有病者数(n=49)が少なく、いずれも統計学的には有意でなかった。次年度は対象地域及び分析遺伝子多型を拡大し、発症との関連や食塩摂取との相互作用を検討することにより、遺伝子多型と脳卒中との関連を精査する予定である。
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