研究課題/領域番号 |
19659172
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
中園 一郎 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30108287)
|
研究分担者 |
津田 亮一 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (20098875)
池松 和哉 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (80332857)
|
キーワード | EFPE標本 / 蛋白質抽出 / ホルマリン浸漬時間 / Albumin / Transferrin / GAPDH / 抗原賦活化 |
研究概要 |
法医学では死因究明のために、病理組織学的検索が日常的に行われており、さらに免疫組織学的染色法もよく用いられている。しかし、通常の免疫組織学的検索では半定量的検討しか行えず、絶対的な定量的検討が行えない欠点がある。Western Blot法やELISA法は組織内の蛋白量を直接的に測定できる利点を持っているために汎用されているが、法医病理の分野では、ホルマリン固定・パラフィン包埋(FFPE)標本を用いて、症例の解析が行われ、組織等を凍結保存すことが一般的でないことから、これらの方法は実務応用されていない。最近、FFPE標本からも蛋白質が抽出できる可能性が示唆され、我々は、それらが抗原回復技術を基礎にしていることに着目して、独自に抽出方法を開発してFFPE標本からの蛋白抽出を試みた。実際的には、ホルマリン浸漬時間が約1ヶ月の肝臓FFPE標本を用いて蛋白抽出条件を検討し、Incubate条件を最適化した。Western Blot法にていずれの標本からもAlbuminが検出でき、リプロービング後にTransferrinが確実に検出できた。また、Transferrin、Albuminの順序にても両者が検出できた。そこで、ホルマリン浸漬時問が約2週から約4ヶ月までの試料を用いて検討したところ、House Keeping蛋白質であるGAPDHでは、浸漬時間が2ヶ月以内の標本では半数が検出可能であったが、3ヶ月以上のサンプルでは全症例において検出できなかった。凍結組織では検出できるExcitatory Amino Acid Transporter2,0xygen rcgulated Protein 150やC-fos gene productでは、浸漬時間が2週間以内のものが検出可能であった。従って、ホルマリン浸漬時間がFFPE標本からの蛋白質抽出に大きく影響を与えていることが判明した。今後、本方法を実務に応用するには、少なくともホルマリン浸漬時間を最小限に抑えることが必要である。
|