Gastrointestinal stromal tumor (GIST)は、消化管間葉系腫瘍のなかで最も頻度の高い腫瘍である。KITやPDGFRA遺伝子変異だけでは、GISTの多様な分子病態を説明する事はできない。近年、マイクロRNA (以下miRNA)の役割が注目されているが、GISTにおけるmiRNA発現異常やその標的遺伝子に関しては全く報告がない。本研究では、GISTにおけるmiRNA発現異常を解析し、その病態を解明することを目的とする。本年度は、胃GISTのmiRNA発現の解析を系統的に行った。BioAnalyzerでRNA qualityをチェック後、470種類のヒトmiRNAプローブを搭載したmicroarrayとハイブリダイゼーションした後、データスキャンを行った。興味深いことに、コントロールに比べGISTでは多くのmiRNA発現が上昇あるいは低下していることを明らかにした。RT-PCRによる発現の確認を行い、臨床データとmiRNA発現の相関を認めた。現在、Gene expression microarray解析を行い、miRNAの標的遺伝子の変動があるか解析中である。本研究によりGISTにおけるmiRNA発現異常の生物学的意義、臨床的意義が明らかになると考えられた。
|